Misao Ladies Hospital不妊治療特設サイト
〒502-0846 岐阜県岐阜市津島町 6-19 TEL 058-233-8811
操レディスホスピタルWebサイトへ
体外受精・胚移植法のステップ

9 胚の評価と胚移植法

受精確認の翌日には、分割が始まっています。分割が確認できれば胚の評価を行います。胚移植を行う時期としては、採卵後2日目か3日目に行う初期胚移植、採卵日から5日目に行う胚盤胞移植、さらに初期胚移植と胚盤胞移植を組み合わせた2段階胚移植など様々なバリエーションがあります。どの時期に胚移植を行うかは、これまでの治療歴や凍結保存できた胚の状態などを考慮し決定します。

[1] 初期胚移植

採卵から、2日目か3日目に子宮に胚を戻します。胚移植の前に分割したすべての胚について、当院のグレード分類により胚の評価を行います。次の写真は、初期分割胚のグレード分類を示しています。グレードは、分割した割球の均一性とフラグメントという小さな分割の占める割合によって5段階評価で分類しています。

初期分割胚(採卵から2日目あるいは3日目)のグレード分類
グレード1
グレード2
グレード3
グレード4
グレード5

グレード1が最も良好でグレード5が不良胚となります。また、分割速度もグレードと同時に評価しています。通常、採卵から2日目では4分割、3日目では8分割程度に発育している場合が平均的な発育速度となります。
胚移植する数は、1個となっています。ご希望があれば、年齢やこれまでの治療歴によって最大2個までは移植可能ですので、2個胚移植をご希望される場合は医師にご相談ください。

グレードについて

胚のグレードは、妊娠の可能性と相関しますが、妊娠が成立した後は、胎児の発育や異常とは相関しません。また、グレードの高い胚ほど妊娠の可能性は高くなりますが、グレードの低い胚でも妊娠の可能性は十分にあります。グレードはあくまでも参考程度としてください。

移植胚数について

移植胚数に関しては、関連学会より原則1個ないし、条件によっては2個とするようにと会告が出ております。当院においても、学会に加盟登録している施設として、この会告を遵守することにしております。患者さまにはご理解のほどお願いいたします。

[2] 胚盤胞移植

採卵から6日間(7日間の場合もあります)培養し、胚盤胞に発育したのを確認して凍結保存とします。
現在、使用されている培養液や培養環境では、7日以上の培養には適していません。
近年、培養液の研究や開発が進み、積極的にこの治療法が試みられています。下記の写真は、標準的な胚盤胞までの発育状態を示しています。胚移植の前に分割したすべての胚について、当院のグレード分類により胚の評価を行います(グレード分類については後述)。
すべての受精卵(胚)が胚盤胞に発育する訳ではありませんのでご理解ください。

採卵翌日
受精卵
採卵から2日目
3~4細胞
採卵から3日目
7~8細胞
採卵から4日目
桑実胚
採卵から5日目
胚盤胞
胚移植

胚盤胞移植のメリット・デメリット

〈メリット〉
胚盤胞まで発育させることにより、途中で発育が停止した胚との選別が可能となります。
生理的に子宮に着床する前の胚盤胞という状態に発育してから、子宮内に戻し着床させています。
胚盤胞を1個移植することにより、多胎妊娠をほぼ回避できます。ただし、まれに1個移植でも1卵性双胎(双子)になることがあります。
〈デメリット〉
患者さまによって異なりますが、胚盤胞へ発育する割合は平均すると40%前後です。
ある程度の数の受精卵(胚)が必要となります。
1つも胚盤胞に発育しなかった場合には、胚移植ができません。

[3] 2段階胚移植

採卵から2日目か3日目に初期分割胚を1個胚移植し、残りの胚は培養を継続して5~7日目に胚盤胞に発育した場合に2回目の胚移植を行う方法です。

採卵翌日
受精卵
採卵から2日目
3~4細胞
1回目の胚移植(2日目か3日目)
採卵から3日目
7~8細胞
採卵から4日目
桑実胚
採卵から5日目
胚盤胞
2回目の胚移植

胚盤胞のグレード

胚盤胞についても、その発育状態に応じて胚の評価を行っています。下の写真は、胚盤胞のグレード分類を示しています。

胚盤胞期胚(採卵から4~7日目)のグレード分類
  • 桑実胚
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6

胚の発育状態により6段階で評価しています。 1が胚盤胞になったばかりの状態で6が最も発育が進んでいる状態です。胚盤胞では発育が進むにつれて胚自体が大きく成長します。
通常、採卵から4日目に桑実胚となり、5日目に胚盤胞の3から4程度に発育し、6日目には3以上に発育するのが理想的な発育とされています。 また、胚盤胞では、発育の状態と併せて細胞の密集度についても同時に評価します。
胚盤胞に発育すると、大きく2つの細胞に分かれます、次の写真に見られる、透明帯に密接している細胞を栄養芽細胞と呼び、将来妊娠した際に胎盤となる細胞です。もう1つは内細胞塊と呼び、妊娠した際に胎児となる部分です。胚盤胞では先に説明した発育速度の評価に加え、これら2つの細胞の密集度によってA・B・Cの3段階に評価しています。最も細胞数が多い状態をAと評価し、細胞数が少ない状態をCと評価しています。なお、胚盤胞の発育が2以下では内細胞塊と栄養芽細胞の区別が困難なため、A・B・Cの評価は行いません。

  • 内細胞塊の評価 A
    栄養芽細胞の評価 A
  • 内細胞塊の評価 B
    栄養芽細胞の評価 B
  • 内細胞塊の評価 C
    栄養芽細胞の評価 C

上の左側の胚盤胞写真では内細胞塊と栄養芽細胞ともに細胞数が多いので、共にAと評価します。対して、右側の写真では内細胞塊と栄養芽細胞ともに細胞数が少ないので、共にCと評価します。
例えば、5日目で胚盤胞の発育が「4」で内細胞塊の細胞数が多く、栄養芽細胞の細胞数も多い場合には、「4AA」と評価します。また、胚盤胞の発育が「2」以下の場合では、内細胞塊と栄養芽細胞の区別が困難なため「1」または「2」と発育状態のみを評価します。
胚盤胞の評価としては、発育がより進んでいて、かつ細胞数が多い胚盤胞が移植できれば、妊娠する可能性は高くなる傾向ではありますが、過去に評価の低い胚盤胞を移植して、妊娠されている方々がいるため、100%グレードと妊娠が相関しているとは限りません。グレードはあくまでも参考程度としてください。

胚移植の手技について

胚の評価が終わればいよいよ胚移植です。胚移植とは受精して分割した胚を子宮に戻すことをいいます。
胚移植はこれまでの治療の総仕上げといっても過言ではありません。
胚移植の方法は腟から柔らかい胚移植用のチューブを用いて子宮内に移植します。痛みはほとんどありません。胚移植は5~10分程度で終了しますが、移植後は、胚の着床をより確実にするために、30~60分は回復室で安静にしていただいています。

胚移植のイメージ

胚移植に関するご注意

  • 指定されたお時間にお越しください。
  • 胚移植は腟から超音波診断装置を用いて、子宮の状態とチューブの先端を確認しながら行います。
  • 胚移植後は、移植用のチューブ内に胚が残っていないか確認します。
  • 胚移植後は普段通りの生活で結構です。ただし、重い物を持ったり、激しい運動をしたり、腹部に負担のかかることは、できるだけ控えるようにしてください。妊娠判定日に後悔などされないようにお過ごしください。